序-3 なぜあなたのアイデアは採用されないのか?


自分のアウトプットを特許、新製品、企画、論文、イベント、ブログ、twitter, Facebookで社会に出したいと思っても、最初は簡単ではない。世の中にはインターネットを通じて、ありとあらゆるコンテンツに溢れている。

無料で世の中で起きている出来事が全てわかるニュースサイト、読み放題の電子書籍、聞き放題の音楽配信、見放題の動画配信、そして何百万人、何千万人という人達が様々に意見を出し合うSNS、2017年のインターネットは、およそ思いつく限りの全てのコンテンツが手に入ると言っても良い。

そのため、あなたがちょっと考えただけのアイデアでは、必ず似たようなものがも見つかる。「どこかで見たことがある」と低い評価になるだろう。

そのため、まずはあなたは「誰も見たことが無い、素晴らしいアイデア」を出す方法として、既存のアイデア発想法を勉強するだろう。KJ法、マインドマップ、ブレスト、世に知られている様々なアイデア発想法を見つけ出し、そのテクニック本を勉強して、新しいアイデア発想にチャレンジするだろう。


しかし、それらのアイデア発想法を駆使してあなたが考えた新しいアイデアは、やはり必ず似たようなものがも見つかる。これを読んでいる方々にも、新製品の開発、新事業の企画などに挑戦し、「どこかで見たことがある」と言われた方は多いはずだ。

あなたのアイデアが「どこかで見たことがある」と言われる理由はあなたのアイデアが古いからでは無い。あなたは新しいアイデアを考えるにあたって、既存のアイデアを調査し、似ているものが無いか懸命に調査したはずだ。そして、自分なりに「このアイデアは新しい」と自信を持っていたはずだ。しかし、周りはそう評価してくれない。

その理由はあなたのアイデアが新しくても、進歩が無いからである。従来のアイデア発想法は、否定することなく、どんどん新しいキーワードを出して行くスタイルが多い。そして、そのワード出しの過程や出たキーワードを体系的に整理する過程で、アイデア同士が結びつき新しいアイデアが産まれることを期待する方法だ。

これらのアイデアは確かに「新しい」「面白い」アイデアを産み出すことには長けていると思う。しかし、それは既存の何かを組み合わせただけのものに過ぎない。「進歩」という観点がさっぱり抜けているのだ。

例えば、「100メートル走」をテーマにアイデア出しをしたら、「横向きで走る100メートル走」、「後ろ向きで走る100メートル走」、「スキップで走る100メートル走」などといった面白い走り方がたくさん出てくるだろう。確かに「横向きで走る100メートル走」は私は見たことが無い。しかし、誰も「素晴らしい競技だ」と絶賛することはないだろう。それは「100メートル走」という既存の競技と、「横を向く」というありふれた行動を組み合わせただけだからだ。どんなに新しい組み合わせであったとしても、それを組み合わせるのに何の障害も無い、簡単な組み合わせを行っても、人は素晴らしいものとは思わない。

しかし、「100メートルを9秒ジャストで走る方法」を産み出すことだできたら、素晴らしい。「100メートル走」のスタイルとしては何も変わっていないが、まだこの世に存在しない技術が組み合わさっていることによって、誰もが認める素晴らしいアイデアになっている。

想像して欲しい。もし、あなたが「100メートルを9秒ジャストで走る方法」を思いつくことができたならば。あなたは世界中のアスリートやスポーツメーカーから引っ張りだこになり、あなたのアイデアには莫大な金額が付くだろう。

当然、これを実現するには「より空気抵抗の少ないフォーム」「軽量で高反発なシューズ素材」「心肺機能を高めるトレーニング」といった、テクノロジーに裏付けされた技術が必要になる。しかし、陸上の専門家である必要は無い。シューズ素材の技術は、シューズ以外の商品でも部品の素材を見極める仕事で身に付くし、心配機能については医学やロボットの研究で身に付く。

言い換えると、一つのテクノロジーを極め、専門以外の様々な分野への応用を新しく考えていくことによって、自分の持つ技術が採用される確率が劇的に上がるのだ。

このように、「新しさ」と「進歩」の両方を兼ね備えたアイデアを発想することが、これからの時代に求められているアイデア発想法である。

                                                        

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です