序-2 仕事は楽しいですか?


今、この記事を読んでいるあなたは仕事は楽しいですか?

私は「ブラック」な職場で与えられた仕事を長時間残業でこなしていたとき、仕事が全く楽しくなかった。しかし、特許をどんどん出すようになってからは、理不尽な設計変更が入っても「この変更案、特許になるかも」と思ったり、不具合が発生して対策に追われても「この対策案が特許になるかも」と、常にポジティブな気持ちで仕事に臨めるようになった。

なぜ、特許を出すようになると仕事が楽しくなったのか?それは「頑張った分だけ、報われる」ようになったからだ。

それまでの仕事では同期の2倍は頑張ったと思っても給料は一円も違わなかったし、一日中ソリティアばかりしている課長や寝てばかりいる先輩よりはるかに低い給料だった。「年功序列の会社なんだから、入る前からわかっていただろう」と言われると「そうだ」としか言えないのだが、やはり聞くと見るとでは大違いである。精神をすり減らして、睡眠時間を削ってまで他人より努力した実績は、やはり他人以上の評価として報われて欲しいというのは自然な人情だろう。「どうせ報われないなら、頑張っても意味無いじゃん」と、どんどんモチベーションが下がっていった。


しかし、特許は違う。自分が必死に考えた発明がウェブで全世界に公開される。そして、特許庁が特許を与えるにふさわしいか、一年近く掛けて真剣な審査を行う。キヤノン、ゼロックス、パナソニック、シャープ、京セラといった名だたる企業が保有する特許と比較されてもなお、「お前の特許は、世界で最も新しく、優れた発明である」と認定されたとき、初めて特許を取得することができる。この達成感は、これまでに味わったことの無い喜びだった。

自分が、社会に飛び出し、揉まれながら、一歩分だけでも居場所を見つけたような感覚。

自分の名前が未来永劫、技術の世界に刻まれる感覚。

自分なりに苦しいかなと思った特許はやはり審査で苦戦するし、絶対の自信有りと思った特許はあっさり審査に通ったりと、自分の努力が結果に反映される感覚。

何よりも、特許庁という国家機関に、何のハンデも後押しも無く公正に審査されている状況でOKが貰えたときの、自分の存在が社会に確かに認められたという感覚。

これらの感覚がもたらす充実感は、「ブラック」な職場で味わう理不尽を補って余りあるものだった。むしろ、理不尽な体験が特許のアイデアに繋がることが多かったので、「理不尽、バッチコーイ」というくらいであった。

こうして私は、「ブラック」な職場にいながらも、特許を通じて社会に繋がり、公正な評価を貰うことによって楽しく仕事をすることができた。もちろん、職種によっては特許を出すことが難しい人もいるだろう。大事なことは、自分の努力を社会に繋げて、公正なフィードバックを貰うようにすることだ。

新製品の開発、新事業の企画、論文、イベントの運営、ブログ、twitter, Facebook、何でも良い。あなたの普段の努力を社会に発信し、評価してもらうのだ。もちろん、質の低いものを出して悪い評価を貰うこともあるだろう。だからこそ、頑張って良いものが作れた時、良い評価を貰ったときの喜びが倍増するのだ。

あなたが仕事をつまらないと感じている理由は、上司に評価されないからでは無い、社会に繋がっていないからだ。あなたのアウトプットを社会に直接評価してもらうようになれば、つまらない仕事やしんどい仕事もアウトプットのヒントになり、仕事がめちゃくちゃ楽しくなる。そして、その実績はあなたの地位を確かにし、会社に依存しなくて良くなるのだ。

                                                        

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